EEM (Elastic Emission Machining) 2007.11.17更新
EEMは、固体表面間の化学反応を利用した、全く新しい加工メカニズムに基づく超精密加工法です。加工物表面との反応性を持った微粒子を超純水の流れを利用して加工物表面に供給し、両表面の原子間で起こる化学反応の結果、加工物表面の原子を微粒子が持ち去ることによって加工が進みます。加工物表面の原子の配列を全く乱すことなく、原子サイズのオーダで平坦な表面を作ることができます。 | |
写真(図2)は、Si(001) EEM加工表面をSTMで観察し、原子層ごとに色分けしたものです。この測定では、40nm×40nm
にズームアップした像からわかるように完全に個々の原子が解像できています。そして、全体の95%が3原子層[黄:16%
緑:48% 青:31%]で構成されており、超高真空中加熱(約1000℃)以外の方法で得られた世界で最も平らなSi(001)表面です。さらに、微粒子を供給する領域だけが加工されるので、必要な加工量に合わせて速度を変えながら加工ヘッド(微粒子供給装置)を送ることによって、1nmを上回る形状精度で目的とする自由曲面を創成することもできます。 シンクロトロン放射光施設SPring-8は、世界最高のコヒーレンシー(可干渉性)をもつX線を発生することができ、基礎物理学や医学・生物学など、さまざまな分野から期待が寄せられています。しかし、光源の性能を完全に引出すためには、複雑な形のミラーを1nmの形状精度で製作する必要があります。また、X線の波長は原子の大きさよりも短く、表面の原子レベルの凹凸でもX線が散乱するため、従来加工技術ではこの様なミラーを製作することができません。これまでに、プラズマCVMとEEMを用いたコヒーレントX線用平面ミラーを製作し、世界最高性能の反射特性をもつことを実証しました。 |
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(前加工面とEEM加工表面の比較(PDF)) |
関連する研究テーマ
3-2. 極端紫外光リソグラフィー用結像光学系の開発
4-1. 硬X線集光ミラーの設計・開発