精密工学会 超精密加工専門委員会
【委員長】 山内 和人
(大阪大学 大学院工学研究科 物理学系専攻 教授)
本専門委員会の歴史は,昭和39年,初代委員長である故津和秀夫先生(大阪大学名誉教授,精機学会元会長)がミシガン大学に留学され,その調査研究の中でUltra-Precision
Machiningと称する高精度の加工技術を目指す研究を多く見つけられたことが出発点であると考えられます。昭和41年から42年の間に活動した超精密加工分科会を経て,昭和43年,現在の超精密加工専門委員会が発足しました。その後,日本の工業技術は目覚しく進歩し,平成を迎える頃には半導体デバイス基板や光学デバイスなどにおいてnmレベルの精度が要求され始めました。こうした時代の要求に応えるべく,平成元年,森勇藏先生(大阪大学名誉教授)へと委員長が引き継がれ,超精密加工専門委員会は日本がリードすべき分野である原子・電子レベルの最先端技術を目指す研究活動を中心とした専門委員会として再出発を果たしました。そして平成20年7月に小生が委員長に就任してから現在に至るまで,本専門委員会は「原子・分子スケールのモノづくり」を根底に流れるキーワードとし,既存の体系に基づく製造技術が直面している高度化の限界を突破できる「新たな原理に基づいた原子制御製造プロセス」という,より大きな目標を掲げ幅広く発展を続けてきました。
日本では近年,不安定な経済状態が続き,社会全体のシステムを変えざるを得ないような深刻な状況となっています。日本企業の将来,ひいては日本社会の更なる発展のためには,この国でしか成し得ない新しい産業の種となる独創的な先端技術の開発が不可欠です。本専門委員会では,次の時代を拓くモノづくりイノベーションの核となる原子・分子レベルの製造技術を従来の分野にとらわれることなく体系化し,産業界に見える形で開発・提供していきたいと考えています。
本専門委員会では独創的な技術開発の芽となる最先端の研究や開発をテーマとした研究会を年数回に渡って定期的に開催しています。この定例の研究会には毎回,第一線でご活躍されている著名な研究者の方々を講師としてお招きしております。(詳しくは「活動状況」をご覧ください。)研究会を通じて,専門を異にする研究者・技術者の方々の交流や最新情報の交換の場として,また自由な討論の場として貢献できればと願っています。そして,本専門委員会を産業界と学界との研究交流の足掛かりとなる場として,新鮮な刺激による新しい閃きを得る場として考えていただき,未来技術を培う土壌作りのために幅広く活用していただきたく存じます。
本専門委員会では,さらに多くの企業の方々にご利用いただくため,新たに賛助会員(法人)のご参加を受け付けております。本委員会の趣旨に御賛同いただける企業の方々の積極的なご参加を心よりお待ちしております。 |
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